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遠藤喨及プロフィール
東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ
指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、
さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。
1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界
各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。
また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各
センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助
NPOユニ事務局等、さまざまな精神文化の発信拠点となっている。
著書に、「<気と経絡>癒しの指圧法」(講談社+α新書)、「気の経絡
指圧法安らぎのツボ実技篇」(講談社+α新書)、「気心道」(だいわ文庫)、
「タオ指圧入門」(講談社α文庫)等があり、いずれも数か国語に翻訳出版
されているほか、五カ国語で出ているDVDブック「気心道とタオ指圧」(タオ
出版)、DVD「<気と経絡>タオ指圧」(医道の日本社)等の映像がある。 一方、音楽家としては、ミディレコー
ドよりライアル・ワトソン推薦版である「ウォーター・プラネット」を含む、五枚のソロアルバムをリリースし、内外の
テレビやラジオでオンエアーされている。また、自ら率いるバンド、遠藤りょうきゅう& LAMANI でもCDアルバム
「アミリタ」を発表し、ライブ活動を行っている。
遠藤喨及個人ブログページ http://endo-ryokyu.com
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寄り道篇(6)
――“いつの時代においても、善人の顔をした良き市民の悪とは、
他者の苦しみへの無関心”という、前回の住職の言葉に、いろんな事を
考えさせられました。
善人の顔をした良き市民、、確かにこう呼びたくなる人が時々います。
住職:でもそれ言ったあとで、自分自身の中にもある善人面を認めないと
フェアーではないと、反省しまして、、、。
――ははは。でも私、その言葉でいろいろと考えたんですよ。たとえば、
“他者の苦しみに無関心であることに無自覚な場合は、無意識から
生まれる言い訳が無数にあるな”とか、”他者の苦しみへの無関心自体
が、底なし沼のような救いのなさみたいに感じるなあ・・・”とか。
住職:いやー、たしかに全くその通り。
――ところで、アキハバラ通り魔事件のKも、いずれ忘れられていくので
しょうね。
住職:どうでしょうか? 犯罪史に残るような人は、時代の影を大きく
映しています。そして、ネット社会が内包する矛盾が解決しない限り、
人々はその矛盾の影を Kに投影します。だから、Kが忘れられることは、
相当長い間ないと思いますよ。もっとも、死刑が執行されたら別でしょ
うけど。
――というと?
住職:死刑が執行されるということは、死をもって罪を償ったという
ことです。したがって、法的な意味でも罪人ではなくなります。
そうすると、人々が彼に向けていた様々な投影は、行き先を失うんです。
――へぇー。すると、どうなるんですか?
住職:社会のカルマを背負っていた犯罪者が死んだら、そのエネルギー
は、再び社会に帰って来て分散します。
――そうなんですか? だとすると、犯罪者から帰ってきた、犯罪を
起こさせた社会の負のエネルギーは、あらたな人々に向かい、また
別の犯罪者を作ったりするんでしょうか?
住職:負のエネルギー全部は戻って来ないですよ。被害者や遺族の
苦しみ、またそれを乗りこえるような生き方によって浄化されますし、、、。
でも、犯罪者の懺悔や生きて償いの日々を送ることは、最も大きな
浄化力があると思います。だから僕は、死刑制度には反対なんですよ。
――たしかに、死刑制度を廃止している国は多いですしね。
それにしても、被害者や遺族の苦しみ、また犯罪者の懺悔に浄化作用
があるなんて、初めて聞きました。一体、それは、どういうことですか?
住職:仏教では宇宙大霊の仏さまが持つ働きを、十二の光明で説明しています。
その内のーつに「炎王光」という光明があるんです。これは、カルマを
落としたり、断ち切ったりする働きのことです。
――宇宙大霊にはそういう働きもあるんですか、、、。
住職:仁王様の背中に炎があったり、刀を持っていらっしゃたりするで
しょう?
――はい。
住職:仁王様は、炎王光を象徴しているんです。それで、業を焼く炎が
背中にあり、業を断ち切る剣をお持ちなのです。
――なるほどねえ。
住職:苦しみを感じている時は、宇宙大霊が、「炎王光」の働きによって
業を焼いて下さっている時でもあります。
――いわゆるカルマ落としというやつですか?
住職:まあ、そうです。あらゆる成長には苦しみが伴いますが、業が
焼かれて霊的に向上する時にも、苦しみが伴うんです。
――だとすると、死ぬときの苦しみは、人生最後のカルマ落としなん
でしょうね。
住職:はい。そして、業が焼かれて断ち切れた後は、浄化と美しさ、
また、感動を与える清浄光が働くんです。
――ああ、だから「十二光を讃える歌」の順番では、炎王光の次が清浄光になって
いるんですね。
住職:はい。そしてその後は、喜びの光明である「歓喜光」を浴びるのです。
苦しみによる浄化とは、そのような働きのことを言うのです。
――そうだったんですか。
住職:浄化力という点からいえば、苦しみは受身的なものです。
――はい。
住職:しかし、「懺悔」は能動的です。懺悔には、ネガティブ・エネルギー
を積極的に浄化する作用があります。
――懺悔にエネルギー浄化の働きがあるなんて、知りませんでした。
住職:気ワークでも、はっきりと体感することができますよ。
――へぇー。
住職:さて、ある受刑者が、自分が殺めてしまった人の遺族に、刑務所
から謝罪の手紙を出したんです。
――はい。
住職:もちろん最初、家族は読まずに捨てました。
――その気持わかります。
住職:しかし受刑者は、毎日毎日、謝罪の手紙を書き続けました。
――、、、、。
住職:何年も、1日も欠かさずに謝罪の手紙を書き続けたんです。
そしてある日、とうとう家族が、封を開けて手紙を読みました。
――、、、。
住職:それから毎日、手紙を読むようになった。
――それでどうなったんですか?
住職:その家族は、受刑者と会うようになったんです。
――へぇー。
住職 : ついには減刑嘆願書まで出したそうです。
――受刑者の懺悔の気持が伝わったんでしょうね。
住職:懺悔には、ネガティブエネルギーを浄化するだけでなく、
傷ついた人の心を癒す働きもあります。
――良い話ですね。受刑者の懺悔が、遠隔地にいる遺族の、傷も
癒したのでしょうか。もっとも、このような受刑者ばかりではない
でしょうが、、、。
住職:はい。「殺人を犯すべく生まれたのではないか」と感じさせる
ようなケース。また、「この人は、悪魔に取り憑かれているんじゃないか」。
とか、「人類が根源的に持つカルマと同化して、殺人を犯している
のではないか」と思わせるようなケースもありますね。
――どのようなケースだとそう思われるんですか?
住職:実際にいる犯罪者ですが、自分の犯した罪に対して反省や
懺悔といったものが全くない。それどころか、殺人したことへの達成感
や喜びを持っているようなケースもあるんです。そんな犯罪者について
の記事読むと、何だか、救いがないような気がしてしまいます。
――具体的には、どんな話なんでしょう。
住職:例えば、一生懸命、自分を世話してくれていた叔母や祖父を
殺し、「2人を殺したことが嬉しいのです」などと、家族に書いている
犯人とか。その他、何の罪もない被害者を殺し、「殺した後は気分が
よくて、体調も良くなった」などと、拘置所で語っている犯罪者もいます。
――うへぇー。懺悔や反省があるどころか、殺人を犯したことに対する
喜びや達成感があるんですかー!
住職:そんな言動を知ると、さすがに、その犯罪者をどう理解して良いか
わからず、思わず言葉を失ってしまいます。
――ということは、もしかしたら、二種類の犯罪者がいるのでしょうか?
時代の問題を背負って、犯罪を起こすべく選ばれた犯罪者と、本人の
中にある、悪を行うべき内因(業)によって犯行を起こした犯罪者という、、、。
住職:うーん、果たしてそのような単純な区分けができるもので
しょうか?
――たしかに、ちょっと疑問が残りますね。
住職:また犯罪者の中には、その生育歴などを知れば知るほど、
「犯罪を犯すに至ったのもやむを得ない」と思わせるような人も
少なくないのです。
その一方では、いくら考えても、「どうして殺人まで犯さなければ
ならなかったのか、その必然性がまったく理解できない」と思わ
せる犯罪者もいるのです。それで、時代の闇ではなくて、人類の
カルマそのものを背負っているのかな、とかを思うのですが。
――なるほど。・・・それにしても、どのような思いを抱きながら、
この先Kは生きていくのか、、、Kに限らず、重大な事件の容疑者や
犯人に対して、そう思うことがあります。
住職:彼らのような、時代の闇を背負って事件を起した犯罪者に
対しては、いろいろな想いが湧きますよね。そしてそれを考察する
ことは、自分自身の「内なる犯罪者」と向き合うことでもありますね。
――・・・善悪をテーマにした「住職に聞く/寄り道篇」。私にとっても、
心の内面への深い旅のようなものです。
―続く―
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