カナダ人の、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ、)への熱の入れようは、
相当なもので、日本人のプロ野球リーグへのそれ以上のものがあります。
カナダの都市を本拠とするチームがプレー・オフ最終戦に残ると、人々の話題
はホッケーのみ。そして最終戦に勝っても負けても、特に負けたときにはそ
の本拠地に暴動が起きます。若いファンたちは駐車中の車をひっくり返し、火
を放ち、商店街のガラスを割るなどの無法状態に陥るのです。
モントリオール在住の私もほかならぬホッケー・ファンですが、この有様には、
いつも恥じ入っています。
今年は、数年ぶりにカナダのチーム「バンクーバー」が決勝に残り3勝3敗で
迎えた最終戦で、敗退。例によってバンクーバーの下町は無法状態となり、警
察が介入、ここまでは例年通り。
ところが今年は、その暴動の真っ只中でオーストラリア人の男性とバンクー
バー在住の女性のカップルが・・・という続きがあって、ニュースはむしろ
こちらが主点でした。
何があったかというと、このカップルがこの最終戦を観に来て騒動に巻き込
まれ、鎮圧に当たった警官に女性が突き倒されて転倒しました。彼はすぐさ
ま駆け寄り助け起こしました。ここまでは、多分よくある話。
しかし、この後二人は映画のワンシーンのように抱擁しキスをしたのです。
これを観ていたTVクルーがこの様子を撮影し、映像はオン・エアされました。
これがオーストラリアのTVにも流れ、観ていた彼の父親が、「おい、こりゃ、
俺の息子だ!」とばかりすぐにフェイス・ブックへ投稿。そこからもう一度世界
へと流れ、、。
それをヤフー・ニュース1面で見た私は、なぜか心を打たれました。
暴動の中で抱き合う二人、それをとらえてオン・エアしたTV、また父親から
繋がった世界の人々の反応、このリンクに今までにない、強い平和への願いが
息づいていると思ったのです。また、この暴動を起こした張本人たちが名乗り
出ていることを数日後に知りました。これもまた、今までにない反応と感じま
した。何かが人々の心に起こってきているのではないかと、、。
我われは皆、苦悩を抱えています。それぞれの心の中でも、きっと暴動が起き
そうになっているのかもしれません。こういうときの平和への「芽」は何で
しょう。
それは、このような心の状態はもう沢山だ、という思いから、その状態のため
に押しのけられてしまった気持ちを、見直すことではないでしょうか。
このカップルの話は、私にこのような思いを抱かせました。
豊田悠貴(モントリオール在住)
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