『家の鍵』 2003年イタリア映画

生まれてから一度も会ったことのない父親と息子。
息子は、出産時に無理やり引っ張り出され、脳性まひになった。
またそのとき、母親(当時は父親とは恋人同士)は、若くして亡くなった。
父親は、ショックで逃げ出してしまい、息子は母親の兄に育てられた。
その後、16年間、息子が父親と会うことは、一度もなかった。
父親は、今では結婚し、小さな子供がいる。

そんな親子が、初めて列車の中で出会う。
息子が、脳性まひの治療のためにイタリアからドイツに行くことになったからだ。
そして、医者のアドバイスにより、実の父親が列車で連れて行くことになったのだ。
物語りは、そこから始まる。

この映画は、単なる父子のハッピーエンド愛情物語ではない。
数日間一緒に過ごす内に湧き出てくる愛情。変化していく心。
うまくいくかもしれない、と思った矢先に現れる問題。
自分の狭量さに戸惑う父親。

病院で出会った母娘。
娘が障害をもって生まれたときから、
すべてをあきらめて、献身的に生きてきた母親の、
印象に残る重い言葉。

この父子の未来は、明るいのだろうか?
それは、わからない。

でも、どんな状況でも希望は内包されている。
曇り空の上に、青空が広がっているように。

16歳の息子のユーモアの中に、それを感じた。

文/中川理美

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