『サラとソロモン』 エスター&ジェリー・ヒックス 著

加藤美代子 訳, ナチュラル・スピリット社

カナダに住んでいる僕は、日本語の本に出会う機会はあまりありません。まし
て日本語の良い本に出会う機会は、それこそめったにありません。
この本は、Tさんという、やはりここに在住している日本の方が、貸してくれ
たものです。「これは絶対、悠貴さんは、好きになる」と。

この本は、少女サラがふくろうのソロモンから数々の英知を学び、実践してゆ
く過程を童話的に綴ったものです。
この実践の過程が、これまで読んできたこの種類の本とは違い、実践してみよ
う、という意欲をわかせてくれます。というのも、ソロモンの説明がわかりや
すくより身近な言葉でなされているからです。
たとえば、こんな風に(以下本文より)。

「君の幸せがほかの誰かがやったり、やらなかったりすることにかかっている
とき、君は罠にはまっているんだ。なぜなら、ほかの誰かが考えることや、行
うことを君がコントロールすることは出来ないからだ。ただ、自分の幸せは他
人にかかっているのではない、ということが本当にわかったら、そのときには
本当に幸せになれるんだ」

「今、君が罠にはまったと感じているのは、君が目撃した出来事に対して、ほ
かの反応の仕方があるとは思っていないからなのさ。何かを目撃して、それが
君を居心地悪く感じさせるとき、君はその状況に反応しているんだ。そして、
君は気分をよくするただひとつの方法は、状況そのものが改善されることだと
思っている。でも、君は状況をコントロールすることは出来ないから、罠には
まったように感じるんだ」

“ああ、こういうことだったのか、、そして、こういう風に説明すれば人はわ
かりやすいのか、、、。”と思いました。

そして、何よりも感じたのは、各章の読後感のさわやかさでした。この本には、
喜怒哀楽が上手にちりばめられています。主人公はそれぞれの感情を味わって
いますから、読み手も時には涙するかもしれません。それでも涼風のようなさ
わやかさ、または暖炉の火のような温かみを感じるのです。
それはきっとこの本が慈愛に満ちているからなのでしょう。作者、訳者の願い、
祈りの気持ちがこもっていて、それが強く伝わってくるからだと思います。

年齢性別を問わず、必読イチ押しの本です。

文/豊田悠貴(モントリオール在住)

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