『人間臨終図鑑』全4巻 山田風太郎 著

徳間文庫

奇書と言われているらしい。
学生時代に、友人が古本屋で『人間臨終図鑑』という本を買ったと言って、
熱心に語っていた。古今東西の有名人を、死んだ年齢順に、どのように
死んだのかを記述しているものだと言う。
当時は、まったく興味が持てなかった。
当然、その妙な題名の本のことも忘れていたのだが、文庫化されて書店
で見かけるようになり、にわかに気になりだした。

この本は、ついつい何度も同じページを読み返して見たくなる。
そして、現在の自分と同年代に死んだ人を探して、これまた何度も読み返す。
くせになる本かもしれない。
自分の死に慣れておかなくては、、という無意識の働きなのだろうか、、?

文庫本で4冊、923人の短い死の物語。
著者の山田風太郎氏が描いた個々の死は、ほとんど個人的感情を入れずに
書いているように感じられる。それでも、やはり山田風太郎氏の考え方を
垣間見ることのできるところが随所にあり、面白い。
静かな死もあれば、壮絶な死もある。納得するもあれば、言葉を失うような
不条理な死もある。また、それぞれの生きた時代を浮かび上がらせる。
ただそれだけじゃない。これだけの人数の死の物語りを読むと、人が生きる(死ぬ)
という現象の不思議さまでも、自然と感じることになる。
そして、何故か不思議なことに、読後はすがすがしさも感じるのだ。

文/中川りみ

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