獅子神の森、映画「もののけ姫」の深い森のシーン
古樹が立ち並び、幹には沢山の命が宿り
足元には暗くて静寂な水面をたたえる、神秘の森。
山本二三が描く、獅子神の森には沢山の命が宿り、
命そのものの、在り様そのままで
全ての世界が成り立っている。
行きたい・・・・
画面から漏れ出し、数枚の絵の周辺まで浸食している
その世界の空気。
行きたい・・・・あちらの世界へ。
自分と隔てる、その平面の画面が恨めしい。
獅子神の森だから、こんなにも世界が溢れているのか?
いや、違う。
なんでもない、じゃりんこチエのホルモン屋の店先
かちかち山のおじいさんの家
天空の城ラピュタの洞窟
火垂るの墓の日本家屋
どれも、世界が溢れている。
彼の描く世界はとても精巧で、緻密で、リアルだけれど
その世界はあちらの世界なのだ。
アニメーションの背景なのだから、架空の世界といえば、そうなのだが。
背景で、人物がいないのに、世界が息づいている。
1つ1つの絵に、あちらの世界に行きたいと思わせる
魔性の入り口があるのだ。
彼は、あちらの世界を知っている。
とても自愛に満ちた、命の息づく世界を。
その入り口がここにある。
どうしたら入れるのか?
そうか・・・
もう、入っていたのだ。
溢れ出る世界を感じているその時に、すでに。
そうだったのだ。
あちらの世界を隔てているのは、キャンバスにあらず。
あちらの世界の入り口は、
そこここにある。
あなたの心の中にも。
文/築田淳子
山本二三展 神戸市博物館にて9月25日まで開催
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